大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(ネ)382号 判決

(一) 控訴人は、まず、被控訴人の職員である大久保建築主事は、本件建物に関し、違法に建築確認をし、また、検査を怠った、と主張する。

(1) しかしながら、東京都の特別区に建築主事が置かれるようになったのは、地方自治法等の一部を改正する法律(昭和三九年法律第一六九号)により、特別区の事務に新たに建築基準行政に関する事務が加わり(地方自治法二八一条二項一九号)、特別区に建築主事を置くことができるとされた(建築基準法九七条の三第一項)昭和四〇年四月一日以後のことであって、同日前においては、東京都の特別区の区域においては、東京都に建築主事が置かれていたのみで、特別区には建築主事は置かれていなかったことは、右各法律の規定上明らかである。そうすると、昭和三〇年当時本件建物について建築確認をした大久保建築主事は、東京都の職員として右事務を処理したのであって、被控訴人の職員としてしたのではなかったというべきであるから、仮に本件建物に関する建築確認又は検査につき大久保建築主事に控訴人主張のような違法があったとしても、これにつき被控訴人が国家賠償法上の賠償責任を負うことはないというべきである。

(2) もっとも、弁論の全趣旨によれば、大久保建築主事は、東京都から中野区の建築課長として同区に配属されたいわゆる配属職員(昭和四九年政令第二〇三号による改正前の地方自治法施行令二一〇条参照)であって、同時に東京都知事から同都の建築主事を命ぜられていたものであることが認められるから、被控訴人の長は、大久保の建築課長としての職務遂行に関する限りこれを監督すべき立場にあったことは明らかであるが、大久保の建築主事としての職務遂行については、前示のとおり当時建築基準行政に関する事務は特別区の事務に属していなかったのであるから、これを監督すべき立場になかったものというべきである。したがって、仮に本件建物に関する建築確認又は検査につき大久保建築主事に控訴人主張のような違法があったとしても、被控訴人の長に監督上の責任を生ずる余地はない。

(林 宮崎 石井)

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